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今日の天気もはれ!

考えてること、興味のあることを書いてます。

田坂広志「仕事の技法」

講談社現代新書の「仕事の技法」を読みました。
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著者田坂広志さんは多摩大学大学院教授、シンクタンク・ソフィアバンクの代表で
田坂塾(入塾費や、会費は必要なし。その分特別講和のCDなんかはお金かかるけど)もやっています。
世界経済フォーラム(ダボス会議)のグローバル・アジェンダ・カウンシル メンバーで、
一時原子力工学内閣官房参与をやっていたりと、活躍は多岐に渡ります。


タイトルは仕事の技法となっていますが、内容は「対話の技法」について。
本書では「深層対話(言葉以外のメッセージの対話)」の重要性や、
深層対話力を高めることについて、様々な場面や視点から説明されています。

「章」ではなく「話」なのと、一話が10ページ以内ものも多いです。
行間も上手く使うので文字も少な目で端的にまとまっている印象を受けました。
一話一話最後にまとめもあるので、内容が思い出しやすくて便利です。

「仕事の技法」内容と感想

読んで知った気になるな、きちんと実践しなければ意味がない、ということもきちんと書いてます。
(その為の本の田坂流の読み方も書いてあります。)
商談の内容を思い出しながら読むと直ぐ実践できていいですね。
本書の内容をきちんと実行できれば営業や接客以外の様々な仕事に使えるのに加えて、
仕事以外にも応用ができ、いつも冷静な対話が出来るようになりそうです。

私が特に気になったのは「操作主義」について書かれていたところと、
深層対話力は「諸刃の剣」となるというところ。

「操作主義」にならないように

時間をかけ、心のエネルギーを使って、地道に顧客や部下との信頼関係を育んでいく道を選ぶよりも、手っ取り早く、相手を意のままに動かしてしまうことを求める「性急な成功への願望」があるからである。
(中略)
我々の心の中に、「自分の方が、相手よりも優れている」「自分の方が、相手よりも偉い」と思いたがる「小さなエゴ」があるからである。
(第一五話 「深夜の反省日誌」において見つめるべきは「自分の心の動き」138-139頁)

相手を「動かそう」とすることが「操作主義」なのではない。
相手に対する「敬意」を持たず、相手を「一人の人間として見つめず、
あたかも「物」を動かすように、自分の思うままに操ろうとすること、
それが「操作主義」である。

(第一五話 「深夜の反省日誌」において見つめるべきは「自分の心の動き」141頁)

焦っている時や上から目線となっていると、つい他人を自分の思うままに動かしたい、
自分の意見に納得してもらいたいというのは経験のある人もいるんじゃないかな。

私は職場の先輩や同僚にこういう感情を持っていた事がありました。
あの人は仕事ができないのに何て偉そうなんだ、
あの人はマイペースに仕事をやりすぎだ、そんなのはおかしい!という具合にね。
だから周りを信頼できず頼れないし、意見を伝えるのもキツイ言い方となる。
尚更操作主義に陥ることが起きるという悪循環に陥ってましたね。

今思うとできない自分から目を背けたかったのもかもしれません。
第一六話でもふれられているのですが、人は操ろうとしているのを察するので、
他者との壁を作るだけなんですよね。
それでも助けてくれる人がいるのに勝手にすねて、わざわざ悲劇のヒロインになりにいっている。
何て恐ろしい!

幸い諭してくれる友達ができて、自分を客観的に振り返る習慣ができたので脱却しつつはあります。
それでもつい操作主義に陥ってしまうことはあるので、特に第一五話は定期的に読みたいですね。

正しく使うこと、騙されないようにすること

田坂さんの著書に「人生で起こること すべて良きこと」があるように、
悟っているというか、潜在意識等そういう事もよくわかっている方なんだろうなぁと思います。
だからこそ最終章に

「深層対話力」とは、きわめて切れ味の良い「諸刃の剣」となる。


それは、使い方を誤らなければ、人を活かし、自分を活かす、素晴らしい剣になる。
しかし、使い方を誤れば、人を殺し、自分をも殺す、危うい剣となる。
(第二十三話 「深層対話力」とは極めて切れ味の良い「諸刃の剣」208頁)

という内容を持ってきたんだと思う。
自分が他人を操作する酷い使い方をせず、良い方に役立ててほしいという願いもあるんだろうけど、
世の中性善説な人ばかりじゃないから、上手く使いこなして騙されないようにという
警鐘も兼ねてこの本を出したのかもしれないなぁ。

折角なら良い感情や良い物をきちんと広めていきたい。
私も目先の利益だけに溺れて大事な物を見失う事がないようにしたいです。

ゲンダイのHPから少し読めます

序章と第一話が読めるので、気になる方は是非どうぞ。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47603
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47625

著書は国内外で80冊余り

「仕事の技法」巻末にジャンル訳された主要著書も載っているので、
次に読みたいものを選びやすいと思いました。
「仕事の報酬とは何か」「これから働き方はどう変わるのか」辺りも面白そう。
色々と読んでみます。

田坂広志公式サイト - 未来からの風